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Report : Festival de FRUE 2018|史上稀に見る自由すぎるフェス、その魅力に迫る

Photo by Alexis Wuillaume

 

Text : Chihiro Kato

 

今年で2度目の開催となったFestival de FRUEに初参戦!そして、今までエレクトロに気をとられすぎて、バンドの知識が乏しい私がなんとアーティストのアテンドを頼まれた!

今回の出演アーティストで交流があるのは去年も出演したAcid Pauliのみ。彼のアテンドを頼まれると思いきや、Sam Gendelというアメリカ出身のサックス奏者だそうな。そして、彼は他にも2人引き連れてくるらしい。

まず担当するSam Gendelのトラックを視聴すると、(わお、かなり良い!)会うのがますます楽しみになる中、バンドの他の2人は付き添い程度と軽く考えていました。2人の正体を訊くこともなく、他の出演者のことも訊かず、(まあ会場入りすればわかるでしょ)という軽い気持ちで構えていた私は、この後色々驚かされることになります。はい。笑

 

 

フェスの前日に会場入りをし、つま恋リゾートに到着すると、ホテルのロビーに見覚えのある顔が。。(あっ、Samだ!)とりあえず「今回アテンドするちひろだよと声をかけると、かなりチルな雰囲気で「よろしく〜今から温泉行ってくるから、また後で連絡するよ」と。。

 

彼を温泉へ見送り、フェスの関係者と合流すると、「そういえば、Bruno Pernadasをランチに連れて行って欲しいんだよね〜。メンバーは全部で11人なんだけど。」(待て待て、11人もいるのか!)とりあえず、メンバーを招集しようとロビーへ向かうと、11人の陽気なポルトガル人たちが!

 

日本人2人で近くの蕎麦屋へ連れて行きメンバーを半々で担当。蕎麦を注文し、待っている間にダルマ、七福神、タヌキの置物、七味などなど日本文化や日本語についての質問責めにあうことに。笑 ランチを済ませ、Bruno達のリハに付き添います。今回、名だたるアーティストが出演する中、参加したお客さん達が口々に「Bruno達の演奏は本当に楽しくて、もしかしたら今年一のバンドだったかも」と言うくらい、リハにも関わらず、彼らのプレイは元気溌剌、本当にワクワクさせてくれるもので、本番が待ち遠しくなりました。

 

 

そろそろお腹も空く頃、バーベキューの用意が完了!会場入りしているアーティスト達がぞろぞろと良い匂いに誘われてやってきます。FRUEに来た方はご存知かもしれませんが、このフェス食べ物が異常に美味しいんです。アーティストのご飯も、出演者を含む全ての関係者がクオリティーの高さに興奮していました。私もSamを迎えに行き、初めてJoachimShahzad とご対面。柔らかい物腰の2人が一瞬で好きになりました。(まだ、私はこの時点では彼らが凄い人だとわかっていません。笑)

このディナーでもう1人仲良くなったのが、Campbell Irvine、フェス2日目のグラスステージでDJをした、ベルリン在住のインダストリアル・エクスペリメンタルなテクノのアーティストです。彼とは、パーティーの話、ベルリンの話、プライベートな話を、どこからともなく現れた日本酒を飲みながら熱く語り、私たちの夜はフェス前日というのに、この後永遠に続くのでした。。。笑

 

Photo by Alexis Wuillaume

 

翌朝からはBilly MartinとセッションをするJoachimShahzadをリハに連れて行くのですが、このilly B’s Organism Sessionと題されたプログラム、本当に何も決まってないブッツケ本番のセッションだった!誰が何の楽器を使うかさえ決まっていない中、私を含め関係者全員がざわめきだします。そんな中、超落ち着いているのがプレイする本人達。もうここまでくると流石としか言いようがないほど、「じゃ、楽しもうぜ〜」と言って、ステージに出て行ってしまった。でも、そこはやはりプロ。彼らが織りなす音楽は一人一人自由だけど、しっかりとハーモニーが取れていてびっくり!素晴らしいものになっていました!

 

そのままYEKNELS、そしてBrunoのプレイを観覧し、いよいよSam Gendelの出番!飛び込みでRoland社の方が新しい楽器を持ち込んでくれ、大興奮の3人!Samには電子管楽器、Joachimには電子担ぎ太皷が渡され、今回のセットではこの電子担ぎ太皷が採用されたんです。

 

3人をステージへ送り出し、私もしばしフロアから彼らを見守ることに。彼のトラックを聴いてもらえればわかりますが、Sam Gendelの音楽はどこか少し寂しいけどとっても暖かい音楽なんです。この全てを包み込むような音楽で会場は一気にSamの世界に。途中で彼のサックスソロがあったりと、本当に見応えのあるプレイでした。

その後Theo ParrishのパワフルなDJで幕を閉じた1日目。まだまだ遊び足りないお客さんがフロアにいたりと、興奮冷めやらぬ初日でした。

 

 

2日目はSamilly B’s Sessionに出るので、それまで自由行動。SamJoachimと会場をウロウロしながら、ご飯を買ったり、グッズを買ったりとゆっくり過ごします。そんな中、彼らの会話でとても気に入ったフレーズがあったのでご紹介します。

 

It feels like there’s no agenda or whatsoever at this festival except being here.”

 

このフェスで一番大事なことは、ここにいるということ。それ以下でもそれ以上でもない。”

 

その後も二人は、Frueがどれだけピースで、ただただ良い音楽を追求しているフェスかを語り、それが今まで彼らがプレイしたどの国とも違うことに感動していました。日本のフェスって私たちには当たり前になりつつある居心地の良さだったり、平和であったりが色濃く出ているフェスだと思うんです。

 

Photo by Alexis Wuillaume

 

説明不要なAcid PauliDJを全力で楽しみ、最後のilly B’s Sessionへ。BillySamBruno Pernadasの管楽器トリオ、ChrisNelsFrueの最後を飾ります。事前の音合わせなくして、どうしてこんなに綺麗に一人一人の音が重なって行くのだろう。この世に一つとして同じ形のないものを見られて、本当にラッキーだったと思います。みんな天才!

 

そうそうたる面々が出演した今回のFrueですが、お客さんも、主催者も、アーティストも皆んながハッピーになれるフェスだったと思います。お客さんはもちろん、最上級の音に感動し、アーティストはFrueという空間に感動し、そして主催者はそんな空間を作れたことに感無量する。史上稀に見るナイスフェスでした。

 

来年もまた皆さんの度肝を抜くようなブッキングと、安定のハイクオリティーで私たちを楽しませてくれることだろうと思います。いやー本当に楽しかった!ありがとう!

 

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Festival de FRUE 2018

 

Photo by Alexis Wuillaume